こんなに好きなのに



「帰るぞ!!」


「嫌だ……」


「昨日はどこにいたんだ!?」


麻果の家で私とお父さんの声だけが響く。最悪…どうしてここに来たの?


「穂香…言えないのか?」


「昨日は……」


「僕の家にいました。」


………大路君。


「お前は、あの時の…」


「お嬢さんは昨日、僕の家にいました。」


「ふざけるなっ!穂香はまだ嫁入り前だぞ?!」


お父さん、いつの時代の父親なの…


「………僕は穂香さんと真剣なお付き合いをしています。中途半端な気持ちじゃありません。」


「まだまだ若いお前が真剣だって?ふざけるなっ!」


「はい、僕は穂香さんより2つ下だし…まだまだ子どもです。だけど、僕は将来穂香さんと結婚したいと思ってます。それに…真剣に愛してます。」


「っ………」


「愛してる?そんな気持ちはすぐかわる。俺は君よりも何年も歳をとった…だからわかる。人の気持ちなんて直ぐかわるんだ。穂香もわかってるだろ!」


………わかってるよ。
わかってる…だけど。



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