こんなに好きなのに


つれてこられたのは生徒会室の奥にある会長室。


「………話ってなに?」


「雑誌…見たよ。モデルの仕事なんてしてたんだ…」


そんなしょうもない事…どうでもいい。


「……うん。ちょっと夕菜について…」


「そうなんだ…言って欲しかったな……」


「…別にいいかなって思って。」


「そっか…」


いっつも目を合わせて話すけど合わされへん。
ほのちゃんの目を見られへん。気まずい空気の中、ほのちゃんが口を開いた。


「私ね…アメリカには行かないよ。やっぱり日本でT大に行くことにしたんだ!」


明るい口調…。無理してる。ほんまは家族と一緒にアメリカに行きたいはずや。俺が無理させてる…俺が……


「………」


「昨日、お父さんにも言ったし…納得してくれたんだ。だから…私はずっと大路君と一緒だよ!」


ほのちゃんに無理させたらあかん…ほのちゃんには…


「………何それ?ほのちゃん重いわ。」


ほんまにやりたい事をやって欲しい。


「…え?」


「俺の為って…束縛?」


だから、その為やったらどんな事でも言える。


「ちっ…ちがっ…」


「ほのちゃん自分勝手やわ。俺の為とか言ってほんまは日本おりたいんやろ?それを俺の為とか言って…重たいし、束縛やん。」


「ち…ちがう…本当に違うの!」


わかってるよ。俺のために日本にいてくれる…とかほんまはめっちゃ嬉しいねんで?でもな…


< 254 / 270 >

この作品をシェア

pagetop