こんなに好きなのに



「っ!」


涙は家に帰るまで出てこなかった。
ベッドに顔を押し付けて…一人で泣いた。


「穂香。彼方君よ。」


夕方…お母さんがそぅ言って彼方を部屋に入れた…。


「大丈夫か?風邪?」


彼方はそぅ言って心配そぅな顔を向けた。
それも演技?


「何かあった?言ってみろよ。」


「………彼方…私、知ってるよ。彼方がK高に行ってる事も。由紀乃さんってゆぅ彼女もいる事も…」


「…何言って!」


「全部見た。今日、K高に行ったんだから…私は遊びだったんでしょ?!ねぇっ!彼方っ!全部話してよっ!」


「………なーんだ。もぅバレたんだ。」


っ!いま………なんて?


「由紀乃の事までバレてんだ…あーぁ。」


「……由紀乃さんの為にK高に行ったんでしょ?なのにどうして私と!」


「由紀乃の為?なにそれ。誰が言ったの?俺は自分の為にK高に行ったんだよ。去年落ちたから。それが由紀乃の為にってなってんだ…俺って一途なイメージじゃん。」


「さいてい…」


「はぁ。バレなかったらもっと遊べたのにな。まぁいっかぁ。まだまだいるし…」


「っ!何が王子よ!あんたなんてただ遊んでるバカ男じゃない!」


「バカ?俺よりバカが言うんじゃねーよ。お前がバカなんだよ。遊ばれてんの気付かねぇで………俺はお前の事なんて好きじゃなかったんだよ。なのに好き好きってバカじゃん。」


「っ!」


「でも楽しかったよ。あんたバカで…ははっ」


「出てって!」


「じゃぁね。ほのちゃん。この事言ったらダメだよ?バイバイ」


バタンっ


「っー!」


あれが彼方?
いつも優しくて私を好きって言ってくれてたじゃない。


あれは誰?


私は遊ばれた。


っー。


それから私は恋をするのが怖くなった。
臆病だった…………


男が信じれなくなったんだ。


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