こんなに好きなのに


ガチャ


「…あっきぃ…?…どうしたの?」


あっきーが会長室に来るなんて珍しい。


「すみません…会長室に昨日貰った資料置いたままだったんで…それで来てみたら鍵開いてたんで。」


資料って昨日私が頼んだ…


「はい…」


「ありがとうございます。どうして泣いてたんですか?」


「…泣いてないよ」


「嘘ですよね?」


「本当だよ…」


「また大路と何かあったんですか?」


…何もないよ。勝手に今さら好きになって…勝手に傷付いて泣いてるだけだもん。だから…


「違うよ…大路君は…関係ない」


「先輩が他に悩む事なんてありましたっけ?」


「……」


ないかもしれない…今まで大路君でいっぱいいっぱいだったから…


「素直に言ってみたらどうですか?」


…あっきーだったらいいかな?


「………なんか。うん。大路君には素敵な彼女がいるんだよ。だから私は………」


「何で泣いてるんですか?」


「だってっ…」


「好きになったんですか?」


「っ!」


「だったら素直に伝えた方がいいですよ…先輩。」


「違う!」


「そんなに意地ばっかりはってたら…いつか本当に手の届かない存在になりますよ…」


あっきーは切なそうな表情を浮かべ…またいつもの笑顔で言った…


「先輩は本当に…いい人すぎます…そんなにいい人じゃなくてもいいんじゃないんですか?」


「………」


じゃぁと一言言うとあっきーは出ていった。



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