抱きしめても、いいですか?【完結】
私もそっちの方に歩いていくと
そこには見慣れた人影が。。。。

ビルの壁に背をもたせかけ、片足を壁につけて下を向いている。
ハァ、と両手に白い息を吐きかけている、細身の、すらりと背の高い男の子。
薄茶色の髪の毛に、うっすらと雪が積もっている。

『夏・・樹君・・?』

彼は、壁から背を離し、私のほうに体を向けた。

『ど・・して・・』

私は周りの目線をすっかり忘れ、彼の髪の毛に積もった雪を両手で払った。

『いつから いたの?風邪ひくよ、もう・・』

彼の黒いブルゾンに積もった雪も、両手で払う。
赤くなった彼の手も
手袋を外して私の手で包み込む。

『こんなに つめたくなっちゃって・・』

彼の
耳が
赤い。
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