もう一度届きますように。
家の鍵を開けて玄関に入る。

男物の靴がひとつ。

『…もしかして。』

思い当たるのは1人。
リビングのドアを開けると
クラッカーの音が響いた。

『キヨおめでとう。』
床は風船で埋め尽くされてて
部屋のテーブルには手作りと思われる料理。

『ツバサ…。』

数時間前まで一緒にいた
infinityのボーカル、ツバサ。

『ぬいぐるみだけで終わりだと思った?』
ツバサは笑うと目がくしゃくしゃになる。
その笑顔はユウさんとなんだか似ていて
安心する。

『びっくりしたよもう。』
私の手荷物を持つと床に置き
私の手を引いてソファに座らせる。

『キヨ。』
ツバサは私の頬を包む。
身長はそれほど高くないのに
ギターを弾くせいか手はすごく大きい。
ツバサはそのまま私に顔を近づけると
何も言わずキスをした。
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