もう一度届きますように。
1時間ほど経っただろうか。
ふと目が覚め起き上がろうとすると
左手に暖かさを感じた。

雨が上がり月明かりで
病室が照らされる。

私の左手を握るのはツバサだった。
驚きで思わず手を離してしまう。

それに気づいてか
勢いよく起き上がるツバサ。


『キヨ…。もう大丈夫なの?』

ホッとしたような顔を私に向ける。
軽く頷くとツバサは
私をそっと抱き寄せた。


『キヨが倒れたって聞いて慌てて飛んできて、
2日間キヨが朝までこーして手繋いでたんだ。
さっき来た時ユウさんが意識取り戻したっていうからさ…。』

いつものツバサの声が
私の耳をくすぐる。
聴いていて心地の良い声。


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