もう一度届きますように。
反論する暇もなく
カケルの家に連れてこられる。

『パスタ作ろうかな。なにがいいかな。』
カケルは着くやいなや冷蔵庫を開ける。

『今日仕事は?』
『俺らは昨日音撮ったから今日はすぐ終わったよ。ツバサは声出なくてまだ歌ってる。』
『明け方まで飲むからだよ。』
『キヨの誕生日だからな。』


カケルは袖を折ると
パスタを作り始めた。


『初めて会った時キヨまだ幼かったのにな。
こんな小さくて。』
笑ながらカケルは肩らへんに手をかざして言った。

『そんな小さくないし。』
ふてくされる私にカケルはストレートに
問いかけた。


『昨日も寝たの?ツバサと。』

視線が固まる。
カケルは私から視線をそらさなかった。
カケルの目は時に怖い。
なんだかすべてを見透かされてるような気がして逃げたくなる。
でも一度見つめられると
目が離せないほど縛られていく。


『うん。』
平静を装って頷く。
カケルは短く答えると視線を下に戻した。

< 21 / 137 >

この作品をシェア

pagetop