もう一度届きますように。
『言いすぎたよ、ごめん。黙り込むなよ。』
カケルは謝りながら
私の横に座った。

『ツバサとキヨが初めて寝た日、
俺一回Amanecerに戻ったんだ。
携帯忘れて。ついでにツバサの様子見てこーと思ったら店に誰もいないから。
そしたら上から声聞こえたんだ。

キヨの声。』


顔を上げることができなかった。

『2人は付き合うもんだと思ってたよ。俺は。』
カケルはそう呟いた。


私だって思ってたよ。
ツバサが私の手を握ってくれた時
もしかしたらって思った。
その時だけじゃない。
半年後に彼女ができるまで
私はずっとツバサの近くにいると思ってた。
ツバサに近い存在だと勝手に思い込んでた。


『キヨ、もうやめろよ。』

カケルは私にまた言った。

髪の毛をくしゃくしゃに撫でると
『俺はキヨのこと大事にするよ。』


そう言った。
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