もう一度届きますように。
アンリが帰った後
片付けを黙々と進める私にユウさんは言った。


『ツバサのこと心配なんじゃないの?』

ユウさんはいつも何かを知ってるように
私に言う。

『連絡先知らないし。』
『俺が連絡先は交換するなって言ったから?』
『そうだよ。』

ユウさんはすまんねと笑いながら
タバコの煙を吐いた。


『いつでも連絡が取れる状況にいたら
キヨはどんどんだめになってくと思ってさ。

ツバサはほらあんなんだから。
あいつにいまの彼女ができたって聞いた時
キヨに深入りさせなくてよかったって思ったんだ。
ましてや連絡先なんて交換してたら
キヨはもうあいつから離れられなくなるだろうね。』


返す言葉が見つからない。
ユウさんの吐いた煙は
ゆらゆら揺れてる。
< 30 / 137 >

この作品をシェア

pagetop