もう一度届きますように。
リビングに入るとツバサの姿は見えない。
上着を掛けに寝室に入ると
私のベッドにツバサはいた。

咳をしながら
体を丸めてツバサは寝ている。

『ツバサ?』
『キヨ…?』

いつもの声じゃなくて
苦しそうに喉の奥から出るか細い声。

はっとした。
アンリが言っていた。

声が出ないって。

『喉壊しちゃって…声うまく出ないんだ。』

だるそうに身体を起こすと
そう言った。

『大丈夫なの?』
『うん。大丈夫。』

ツバサに近づくと
私の腕を引っ張った。

バランスを崩してベッドに倒れ込むと
ツバサはその上から覆いかぶさるように私の肩に顔を埋めた。
しばらくそうしてたかと思うと
ゴロンと寝返りを打って仰向きになった。


『キヨ』
『なに?』
『俺のこと好き?』
『うん。』
『そっか。』


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