もう一度届きますように。
なにかがふっと切れた気がした。


『もう会いたくない。』
寝室をでる。
『キヨ、待って。』
苦しそうに声を出すツバサの手を払いのける。


『ねえ、キヨ。ちゃんと話そう。』
『なにを話すの?もう十分でしょ?
もういい。もう無理なの。』


初めてする悲しそうな顔。
風邪でしんどそうな時も
嬉しくて笑顔な時も
歌ってる幸せそうな顔も
いろんなツバサを見てきた。

5年間は大きい。
ここに来てから
私の中にはいつもツバサがいた。
大好きだった。本気で愛してた。
忘れたくない思い出と
忘れなきゃいけない想い。
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