もう一度届きますように。
ツバサは掛け声とともに歌い始めた。

私も好きな歌。
目をつぶってツバサの声を聞く。



再び目を開けると目の前がゆがんだ。
蒸し暑さと熱気、人の圧力で
頭がいたい。


あ、やばいと思った時には
私は前の柵に寄りかかって
半分しゃがみこんでいた。

隣にいた人が気づいて
係員の人を呼んでくれる。

『大丈夫ですか?』
係員の人が私の手を引いてブロックから
出してくれる。
ステージの前の通路に出ると
その場に力なく崩れ落ちた。
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