もう一度届きますように。
『大丈夫…?』


後ろから聞こえるその声は
まぎれもなく


『ツバサ…?』
タオルを持って私に駆け寄る。
『まだ気持ち悪いんだろ。大丈夫か?』

背中をさするツバサの手が熱い。

『キヨ、来てたんだな。』
『うん…。もう大丈夫だから。』
立ち上がって歩き出そうとすると
ツバサは私の手を引いた。


『さっきキヨを運んでったの…彼氏?』
ツバサの顔を見ないように
顔を伏せる。

『そうだよ。』
『そうなんだ。』

ツバサの声は切なそうに、
廊下に響いた。

『キヨ、気をつけてね。』
ツバサは私の手をゆっくり話すと
反対向きに歩き出した。


私も歩き出す。
足は次第に速くなって
やっと出口を見つけると走り出す。

心臓の脈が速くなる。
身体中が熱い。


ツバサに触れられた手が
熱い。
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