もう一度届きますように。
『大丈夫か?まだ調子悪そうやな。』

レンの声もなんだか遠くに聞こえる。
ぼーっとしたまま
外の景色を見る。
日が暮れて昼間の蒸し暑さは
嘘のように涼しい風が吹いていた。


隣にレンがいるのに
私はツバサでいっぱいだった。

忘れることなんでできないのだ。
5年間も思い続けて
あんなに大好きだった。
望んで別れを切り出したわけじゃない。

だけど別れを切り出したのは私だ。
私だけを好きになってほしい。
そんな欲がその決断を選んだ。
ツバサを縛ることはできない。
だから私はツバサから離れたのに。
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