もう一度届きますように。
『ツバサ…。』

ぽつりと呟くように名前を呼ぶ。

ツバサは笑うと私の腕を引っ張って
私を優しく包んだ。

『キヨ、俺もうキヨのこと傷つけない。
彼女ともキヨに振られた日に別れた。
もうキヨだけを好きだから。
キヨが今付き合ってるやつが好きなのは
わかってる。
都合がいいってわかってる。
だけど忘れられなかった。
この半年忘れることなんて一度もなかった。
今度は幸せにする。


キヨが俺と向き合ってくれるまで
俺はずっと待ってる。
今度は俺がキヨを待ってる。』

いつもいつ来るかわからないツバサを
待つのは私にとって嫌いな時間だった。
それでも会えた日の嬉しさは
大きいもので。
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