もう一度届きますように。
『キヨ、別れようって言うたの
このためだったんか?
ツバサと付き合うために俺に言うたんか?』

レンは静かに怒ってた。
怒るところを見るのは初めてだった。
いつも笑ってるレンしか見たことがなかった。


『キヨ、言うたよな。
前に好きだった人はずっと片想いで辛かったって。一緒にいるのに好きなのは自分だけやたって。キヨ俺に同じことしてるやん。』

レンの言葉が胸に突き刺さる。

『違う…ツバサがここにいるのはたまたまで、
ツバサとやり直すためにレンと別れようと思ったわけじゃない。』
『ツバサが元彼やったん…?
最低やな。俺ずっとファンやったのにこんなツバサ見たくないわ。』

レンはツバサを睨みつけてため息をつく。

『ツバサとやり直すために
レンと別れようとしたわけじゃない。
だけど今日ツバサに会って確信した。
ツバサのことまだ忘れられてなかった。
5年も好きだった。それがこんな半年で忘れられるはずなかった。』
『ずっと俺とツバサ、重ねてたんか?』
『そんなことない!
レンはツバサがくれなかったもの
いっぱいくれた。
レンのことちゃんと好きだった。
でも…こんなにも簡単にツバサのことを
思い出しちゃうんだよ。
ごめん…レン。』
< 89 / 137 >

この作品をシェア

pagetop