山あり谷あり、恋もあり。
Side:秀太
香織が後ろで鼻歌を歌っている。
さっきまで、呪文だとかハゲろとか言ってた香織が、急に機嫌良くなった。
その理由は、きっとそう
科学の授業を担当している森山だ。
香織は、森山のことが相当好きらしい。
科学の授業の時は
『はぁ~、かっこいい』とか後ろでよく言っているし
あいつに当てられて答えるときは、電話に出るときの母様のように、2オクターブ分くらい声が高くなる。
最初の頃は、ただのファンみたいなものだと思っていた。
だけど、この前俺の家に香織が来たとき
『ねぇ秀太、私ね、森山先生のこと好きになっちゃったみたい!
どうしたらいいと思う!?
先生と生徒って、禁断の恋だよね。
わぁ、なんかそういうの、少女漫画であるやつだよね。
どうしよう、どうしよう、どうしたら振り向いてくれるかな!?』
うざいくらいに、ずーっとその話をしてた。