山あり谷あり、恋もあり。
「え、香織リアルに料理できない人なんだ!
しかもけっこうなレベルで」
陽祐のテンションがさっきよりも上がっている気がする。
人の弱点を笑うな本当に。趣味悪いぞ陽祐。
「あ、だから香織、こんなんになってるの?」
美咲も笑いをこらえている。
またみんなが、私の敵になった。
しかもそのきっかけは、私の席の前でニヤニヤしている秀太。
秀太・・・許さじ。
ドンッ。
「いたっ。何すんだよお前。」
私は曲げていた膝を伸ばして、秀太の椅子を下からつま先で蹴り上げた。
何すんだよって、そんなの仕返しにきまってるじゃん。
私の思い出したくもない過去の話を持ち出して
みんなで笑って
そんなひどいことをするんだもん。
秀太が悪いんだ。
「べっつにー?
それに、私が料理できないのは、私のせいじゃないもん!」