山あり谷あり、恋もあり。
私は靴を脱ぐと
そのまま階段をあがって2階の奥にある秀太の部屋に入り
ベッドの上にカバンを置いて、靴下を脱ぎ
お気に入りの大きなブタのぬいぐるみを抱いてテレビの前に座る。
これが、秀太の部屋でのお決まり。
このぬいぐるみは、中学生の頃秀太がUFOキャッチャーで取ってくれた物で
すごく抱き心地がいいの。
秀太の部屋に置いておいてもらってるんだけど
青と黒で統一された空間には似合わないピンク色をしていて
秀太は、早く持って帰れよ、っていつも言ってくる。
だけど、ゲームをするときに、このブタのぬいぐるみを抱きながらやると
腕が全然疲れなくて、秀太と勝負するには欠かせないアイテム。
だから、家に持ち帰る訳にはいかないんだ!
「よしっ、秀太、やるよ!昨日の続き」
学校を出るときからリベンジに燃えている私は、早く早くと秀太を急かす。
「ちょっと待ってろよ。てか、電源いれて準備しとけよ。」
後ろでカチャカチャとベルトを外しながら、部屋着に着替えている秀太。
着替える前に秀太が準備してくれればいいじゃんって思いながら
立つのが面倒くさくて、座りながら移動して電源を入れに行く。