山あり谷あり、恋もあり。
秀太はとにかく口が悪い。
間違ったことは言ってないよ?
でもさ、言い方っていうものがあるでしょ。
そういうのお構いなしに言ってくるから、腹が立つ。
「秀太が早く来るから、髪の毛をちゃんと梳かす時間無かったの!
だから仕方なーく手ぐしでしたんだもん。
秀太のせいだ。」
秀太に肩パンチしてうっぷんを晴らす。
「お前、そうやってすぐに手が出る癖、直した方がいーぞ。」
秀太は私を見下すように、上から睨んでくる。
うわ、こっわ。
って言ってもね、これ大体毎朝あることだから、実は全然平気なんだ。
秀太は178cmあって、私は157cmだから、秀太に睨まれた時は下から睨み返してやるの。
そのまましばらくそうしてれば…
「はぁ、もういいわ。行くぞ。」
秀太が先に折れて、カバンを少しだるそうに肩に掛け直して歩き出すんだ。
私は小さくガッツポーズをして、秀太を追いかける。
毎回秀太を殴ったりはしないけど、睨まれて睨み返すのは、日課と言っても過言ではないかもしれない。
これで毎日が始まるって感じ。