山あり谷あり、恋もあり。
「はい。つけたよ。これ、秀太のコントローラー。」
「おう。ありがと。」
秀太はコントローラーを受け取ると、私の隣にあぐらをかいて座った。
私と秀太は最近、1対1の格闘ゲームで勝負している。
いろんなキャラクターの中から好きなキャタクターを選んで戦うやつなんだけど
私の推しメンはガリガリのおじいちゃん。
秀太は無難なのが好きだから、このゲームの主人公、柔道男をいつも選ぶ。
今、テレビの画面には柔道着を着た若いお兄ちゃんと、ガリガリのおじいちゃんが映っている。
これだけ見たら、絶対おじいちゃんが負けるって思うでしょ。
でも、それが全然そんなことなくって
このおじいちゃんは口から火を噴いたり
必殺技では肩たたきの棒をものすごい速さで振り回すの。
まぁ、柔道男も背負い投げとかできちゃうし、手からビームを出したりするんだけど。
「秀太、今週は私が勝ち、もらうからね!」
「いいからスタートボタン押せよ。」
「う…はい。」