山あり谷あり、恋もあり。
「はい。」
秀太は私のカバンを差し出した。
「寒かった。」
文句を言いながら受け取ると
「全身毛で覆われてるやつが、寒いもくそもあるか。」
「誰がゴリラだ!
てか、まだそれ言う!?」
「またウホウホしてるぞ。
風邪ひくからさっさと家戻れ。」
秀太はそう言うと
親指だけを自分のポケットに突っ込みながら
自分の家に戻って行った。
「何が風邪ひくからだ。
風邪ひいたら秀太のせいだっつーの。」
私は秀太の背中を見つめ
盛大なあっかんべーをしてから
「さむさむっ。
肉まん温め直して食ーべよ。」
自分の息で手を温めながら、自分の家に帰った。