山あり谷あり、恋もあり。
でも、私の前の席は秀太の席。
秀太は三谷で、私は村上だから、出席番号で並ぶと前後になる。
そして、秀太も教室に着いていたみたいだから
私が席に座れば必然的に、視界の大半を秀太の後ろ姿が占めることになる。
そんな状況に内心イライラが募る私は、秀太の後頭部を目を細めて睨み
心の中で、秀太の髪の毛なんて燃えちまえ、って呪文を唱えることにした。
しばらくずっとそうしていると
「香~織っ!さっきから秀太見つめて、どうしたの?」
キラキラした笑顔で明るく声をかけてきたこの人は
当真陽祐(とうまようすけ)。
秀太の友達で、私の席のお隣さん。
そして、ものすごくバカ。
勉強ができないことはもちろん、天然って言うのかな、いろんなことに鈍くて
時々意味の分からないことまで口にする。
だけど、ムードメーカーでいつもニコニコしてて、みんなからとても愛されている。
多分、あっという間に友達100人できちゃうタイプだと思う。