暴走族に恋をする。



翌日ー


俺が学校につくと、すでに桜子ちゃんは席に座っていた。

髪色は変わったけど、長い髪の毛で顔を隠すように下を向き、隠した顔にはめがね。
制服はきっちり止められたボタンと、長いままのスカート。
いつも通りの姿に、少し安心した。


「あ、おはようございます。」


「え…あ、おはよう…」


驚いた。
今までずっと俺からしてきた挨拶を、桜子ちゃんからしてきた。
しかも笑顔で。
その笑顔が可愛すぎて、俺は咄嗟に目を離した。

視線を戻したときには桜子ちゃんはもう下を向いてていつも通りだったけど。


「あ、あのさ…
昨日あの格好で帰って怒られなかった?」


俺がそう聞くと桜子ちゃんはまたこっちを向いて


「はい。
どちらかといえば喜んでましたけど。
お母さんは見た目にも気を使うように言うので。」


と、見事に敬語で返事が帰ってきた。
昨日、蓮にはタメ口だったくせに。


「…今日もブラスパ行くの?」


「行く予定はありません。
ただ黒崎くんからお呼びがかかれば行きます。」


………また蓮。
俺が散々放課後誘っても断ってきたくせに。


「あ、そ。」


面白くない。
まぁ総合的には蓮の方が頭もいいし、名堂だし
顔も蓮のがかっこいいし、背も高いし、おしゃれだし、ケンカも強くて頼りになるし
………俺なんかより蓮の方がいいのかもな…


「あ、おはよ。」


落ち込んでいると早坂が横を通ったから、俺はすかさず声をかけた。


「え?…おはよ、快斗。」


一人の女のことで悩んでるなんて俺らしくない。
俺はもっとパーっとしてたいやつだ。



< 106 / 344 >

この作品をシェア

pagetop