暴走族に恋をする。



仕方なく、私は一人でのろのろとファミレスへ歩いていた。
大津くんがいない、あのメンバーはなんだかどうも慣れていない。
いつもいた大津くんがいないだけで、私の調子は狂っていた。


「秀明高校1年1組、天宮桜子さん?」


そんなとき、私に知らない女の人から声がかかった。
それはそれは見た目が怖そうな、ギャルというより不良系の女の人だった。


「………誰ですか?」


「野山高校3年、山村祥子(やまむらさちこ)。」


「それで、私になにか用ですか?」


「用がなきゃ話しかけねーよ。」


そりゃそうだ。
じゃなきゃ変人だ。


「手短にお願いします。」


「………あんたさ、自分の立場わかってる?」


「はい?」


「っていうか、なんであんた?」


「はい?なにがですか?」


「昨日蓮に言われたの。
ブラスパにはもう新しい女がいるからって。
あんたなんだろ?
最近、ブラスパに出入りしてる女って。」


「はぁ…
え、と…意味がよくわからないんですけど、もっと簡潔に話してもらえませんか?」


「………じゃあ簡潔にいってやるよ。」


「いった…!離してよ!」


私の全く動じない態度にイライラしたのか
話が通じなさすぎてイライラしたのか
この人は突然私の髪の毛を引っ張った。


「テメェが邪魔なんだよ。
テメェがいなくならねーんなら、こっちが消してやるよ。」


その意味すら私にはわからなかった。
だけど、私の頭に走る激痛はすんなりとなくなった。


「この子になんか用?」


「え…」



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