暴走族に恋をする。
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図書室へつき、静かにドアを開けると
奥の窓際の席に桜子ちゃんは座り、外を眺めていた。
俺はそんな桜子ちゃんに近づき、
「桜子ちゃん。」
優しく話しかけた。
だけど桜子ちゃんは全く反応しない。冷めた表情のまま、外を眺めていた。
「……桜子ちゃん…」
だから俺はもう一度桜子ちゃんの名を呼び、また一歩近づいた。
すると桜子ちゃんは冷めた顔のまま、口を開いた。
「覚悟はできてます。」
たった、その一言だけ。
「……え?」
その意味がわからなくて、思わず聞き返してしまった。
「…もう、嫌になったんでしょ?
どうぞフってください。覚悟してますから。」
俺のことは全く見ない、力のない目をした桜子ちゃんから発せられた言葉がそれで、俺は自然と顔が歪んだ。
そこまで言わせてしまった俺が悔しくて、情けなくて…
「私、いつもそうなんです。
私なりに頑張ったっていつも的外れで怒られる。
嫌になられて当然なんです。」
いつだって俺のために頑張ってくれた桜子ちゃんなのに
俺は俺のことしか考えなくて桜子ちゃんを嫉妬させようとして、結局逆ギレして……
こんなに自分を責めてる桜子ちゃんを、俺はまた責めて…
「……ごめん。」
そんな言葉じゃ足りないくらい、俺は桜子ちゃんを傷つけていた。