暴走族に恋をする。



━━そして学校について早々……


「よう、大津。待ってたぞ。
今日はお前が日直だからな?」


担任の先生が靴箱で待ち構えていた。


「げ!うそ!まじで!?」


「わざわざ逃げねーように待ってたんだからな?
ほら、職員室いくぞ。」


「えぇ!ちょ、桜子ちゃーん!!」


……はは、頑張ってー…


「どこまでもうるせーやつだな。」


「ほんとよ。」


先生に引きずられていく快斗を見ながら、日比野くんも早坂さんも冷ややかな目を送っていた。

……それは私もだけど。


「行こ、天宮さん。」


「え?う、うん。」


早坂さん…私なんかと一緒に教室いってくれるんだ…


「ねーねー、天宮さんってなんで快斗と付き合ったの?
ぶっちゃけ天宮さんクラスの見た目じゃ、快斗じゃなくても選び放題だと思うんだけど!」


「や、そんなことはないです…」


それに、日比野くんは今だからそんなことを言うんだろうけど、快斗と付き合う前の地味な私に話しかけてくることすらなかったわけだし
結局は快斗だったからよかっただけだと思うけど…


「でも私も気になってた。
なんで快斗なの?」


「なんでと言われましても…」


いつの間にか好きになってたし…いつから好きなのかとか、どこを好きになったのかとか、そんなのわからないよ…


「……ただ、快斗といると完璧でいなくていいんだなって思えるから、そこは他の人と違うかもしれませんね。」


誰かと足して1になったっていい、なんて……そんなことを言ってくれたのは
快斗だけだった。


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