暴走族に恋をする。



「……私、前に辛い出来事があって、それから自分の感情に蓋をしたんです。
その蓋を今になって開けることができなくて、開け方がわからなくて……
そんな私を見て、離れていった人はいっぱいいました。

でも快斗は諦めないでしつこく追いかけてきて、私にいろんな言葉をかけてきたんです。
なんにも包まれてない、真っ直ぐすぎる言葉で、私にまた感情というものを芽生えさせました。

昔の私を戻すことはできない。それは私が一番よくわかってます。
……だけど快斗は、そんな私から少しずつ新しい私を見つけ出してくれる。

あんなにしつこくて、諦めの悪い人は他にはいなかった。


自分が一番怖かった。昔の出来事から私はまだ乗り越えることはできてないんです。
……だけど、快斗はそんな怖い私でもきれいだといった。

そんな快斗とちゃんと向き合いたいと思いました。
自分に怯えたくないって、初めて思いました。

快斗となら、いつかあの苦しみから抜け出せる気がするんです。」


いつか私も、なんの負い目も感じず人生を楽しめるようになりたいんだ。


「あんなに強い人、他にはいないんです。」


ほら、快斗のことを想うだけで、自然と笑みがこぼれてくるよ。


「……かわいい。」


「………え?」


「笑ったとこはじめてみたけどめっちゃ可愛いんだな!やっぱり!」


…え、なに…そこ?


「あんたね、こんなに真面目に話してるんだからそんなこと言うとこじゃないでしょうが。」


「いいなー、俺にもこんな可愛い彼女ほしい。」


「暁斗には無理だね。」


「うっせ!」


仲良いんだなぁ、この二人も…


「でも、今の話聞いたらやっぱり天宮さんには敵わないや。
快斗が天宮さん選んだ理由もわかるよ。」


あ、そうだ…
早坂さんは快斗のことが好きなんだ……


「……あの、なんかすみません…」


「ん?あー、私変なこといったか。
まぁ快斗は現実って言うよりも、夢だもん。」


「…夢?」


「そ。本気で付き合えるなんて思ってないよ。
まぁセフレくらいになれたら、なんて思ってただけだもん。」


「セ、セフレって…」


「だから、天宮さんは私に気にせず快斗と付き合ってね!」


「……ありがとうございます。」


なんか…早坂さんって本当にいい子なんだな…
人は見かけによらないって本当、この事を言うよ。



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