暴走族に恋をする。
教室についたあとも、早坂さんは快斗の席に座って、ずっと私とお喋りをしてくれていた。
日比野くんも、快斗の後ろの席に座って。
「ねぇ、私も名前で呼んでもいい?」
「え、私のですか?」
「そ。天宮さん、なんてさ
ちょっと距離があるじゃない?
友達は名前で呼び合うもんでしょ!」
「……友達?」
「え?違うの?」
「い、いえ……
あの…大丈夫です、名前で呼んでいただいても…」
「よかった。
じゃあ私のことも莉奈でいいよ。
あと、その敬語もやめてよね。」
「あ、はい。……じゃなくて、うん…」
莉奈、か……
またまたハードルが高いな……
「んじゃ俺もー!」
「あんたが呼び捨てにしてたら快斗にキレられると思うけど。」
「……じゃあ桜子ちゃんって呼ぶわ」
「はい、どうぞ。」
「俺のことは暁斗ね!
つーことで連絡先~。」
あ、連絡先か……
お父さん、お母さん、涼介しかなかった私のスマホの連絡帳には、この1ヶ月でたくさんの名前が増えた。
それも全部、快斗のおかげかな……
「にしても快斗遅くね?」
「どうせ配布物を持たされてるんでしょ。
わざわざ靴箱で待ってたくらいだからね。」
「そんな日に日直なんて最悪だな、あいつも。」