暴走族に恋をする。
時間もないしさっさと着替えを済ませ、私たちはグラウンドへと出た。
今日は女子1,000メートルらしくて、莉奈と一緒にさっさと走り終えて、隅の日陰で休んでいた。
「あ、快斗と暁斗くん走ってるよ。」
「ほんとだ~。超適当だね。」
「ね。」
なんか、ダルさが伝わってくる。
さっさと走って終わらせればいいのに。
「……実はさ、友達が暁斗のこと好きなんだよね。」
「え?」
二人で快斗たちが走っている姿を見ていると、莉奈が突然そう話し始めた。
「暁斗も快斗もさ、見た目超イケてるじゃん?
高校で初めて友達になった結希(ゆき)は暁斗、私は快斗を好きになったの。一目惚れ。
二人で頑張ろうね、って約束してさ。
だから二人で勇気だして暁斗と快斗に話しかけに行ったの。」
結希……池田さんか…
「まぁ私はフラれたし、快斗が桜子のこと本当に好きなの伝わってくるしさ
桜子も超美人で、快斗のために変わろうとしてるところとか、そういうの見てるとやっぱり諦めなきゃで
快斗が好きになった桜子を知りたくなった。
今は本気で桜子のことが好きだし、友達だと思ってるよ。
快斗のこともキッパリ諦めたし、二人が仲良ければそれでいいの。
……だけどさ、前は桜子と仲良くなかったじゃない?
桜子は地味だったのに、快斗に気に入られててさ…それなのに快斗を拒否ってた。
だから、前は生意気だって、結希と悪口いってたときもあったの。
ごめんね?」
「あ、ううん。いいよ。
正直、そういうのはいっぱいあったし、気にしてないよ。」
莉奈だけじゃない。
地味で陰気な私なんかが、モテる快斗を生意気にも拒否ってたから
けっこういろんな女の子にいろんなことを言われていた。
……そんなの、慣れっこだけどね。