暴走族に恋をする。

「でもさ、桜子と少しずつ話すようになってから、桜子の素直さとか、真っ直ぐさとか…いいところばっかり見つかっちゃって

なにこいつ、面白いじゃん、って思うようになったの。
それからかな？桜子のこと、勝手に友達にしてた。

それで今日、ずっと桜子といるんだけどさ…
桜子といると快斗までいて、快斗がいるから暁斗もいて…
結希はさ、それをよく思ってないんだ。
"快斗がダメだったからって、暁斗に乗り換えてんなよな"って他の子に言ってるの聞いちゃって。

なんかそういうの、めんどくさくなっちゃってさ。
桜子はそうやって悪口いったりしないじゃん？
嫌なことがあればちゃんと本人に言うし、そもそも悪口なんて言わないじゃん？
だから…なんかこっちのが楽なんだ。」


陰口、か……
そんなことないよ…私だって昔は言ってたよ……

でも、陰口なんて聞いてる方も言われてる方も決していい気持ちはしない。
私はそれを身をもって実感したんだ。


「……中学の時さ、私いじめられてたの。」


「え……？」


「それで、高校デビュー。わざわざ遠くからここに通ってるんだ。」


「そう、なんだ…」


莉奈が、いじめ……
想像できない…


「絶対いじめられたくないって思ってとったポジションなのに、結局またビクビクしてる。

そういうのが嫌になったの。

結局さ、私は結希のことを見た目だけで決めて、損得考えて一緒にいた。
友達なんてものじゃなかったんだって、ようやく気づいたよ。

……だからさ、桜子とは友達になりたいんだ。
前の地味な桜子でも、今の超美人な桜子でも、見た目はどっちでもいい。
心の強い桜子と一緒にいたいんだ。」


「……強くなんか、ないよ…」


「え？」


強くなんかない。
誰かを憎んで、悲しみからいつまでも抜け出せない私は

強くなんかなれない。