暴走族に恋をする。



「莉奈はすごいね。
私なんか、強くなろうとすら、考えたことないよ?
そもそもすべてが怖くて感情に蓋をしてたから。

私のこのくそ真面目な性格は、悪さばっかりしてる不良への対抗心へと、自分を正当化するため。

ただのひねくれものだと私は思う。」


「不良って…快斗も?」


「うん。だから嫌いだったの。

……私ね、たとえば法定速度をオーバーして走行してる車の運転手が事故を起こして、その運転手が死んだとしてもなんとも思わないの。
自業自得でしょ?って。
命を軽く見たのは自分なんだから、って。

だから、性格の悪さとか、ひねくれ感で言えば私の方がずっと上だよ。


そんな私でもいいの?」


「……うん、いい。
そうやって話せるってことはさ、自分の考え方にプライド持ってるからでしょ?

まー確かにひねくらてるかもだけどさ。
私はいいと思うよ。

そこまで正しい心を見せられたら、きっと桜子はいじめとか嫌いそうだから。」


「嫌いじゃないよ。興味ない。

私は人の心を軽んじてみる人が大嫌いなの。
そんな人が何をしようが、どうでもいい。
怒ったりもしない。
莉奈もそういうの、気にしない方がいいよ?
レベルの低い人の相手は疲れるだけ。」


「……冷めてるね。」


「あー、うん。冷めてるかも。」


「でも、それが桜子の本性なら、それを見れた私は快斗と同格かな。」


「ふふ、なにそれ。」


「あ、笑った。
めずらしー。」


「うるさいよ。」


……なんか、見た目がこんなにハデなのに、お礼が言えたりとか、私なんかにも優しくしてくれる意味がわかった、かも。

きっと、この莉奈も無理をしてこの姿をしてるんだろうな……



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