暴走族に恋をする。
「なーに話してんの。」
「あ、快斗と暁斗。もう走り終わったの?」
「そ。つっかれたー。
桜子ちゃん充電させてー!」
「イヤ。こんなところでくっつかないで。」
しかも授業中だし。
なに考えてんの?この人は……
「はは、快斗フラれてんじゃん。
桜子は快斗には一段と冷めてるのねー。」
「ま、デレデレな時もあるけどな!」
「変なこと言わないで。
しかも近い。」
「彼氏なんだからいいじゃん!」
「ここは学校です。」
……あ、暁斗くん
莉奈と話してる。
…ほんと、常に笑ってるね。莉奈と話してるときは。
さっき、私と授業中に話してたときはそうでもなかったのに。
「桜子ちゃーん。なんで暁斗ばっか見てんだよー。」
「え?
あー、なんでもないよ。」
「……さっきの選択授業の時、なに話してたの?暁斗と。」
「なんでもないよ。」
「昼休み、廊下に出たときは?」
「なんでもないって。」
「……俺には言えねーのかよ。」
あー、なんかちょい不機嫌。
……いや、完全に不機嫌。
「別にやましいことなんかないよ?
それでも全部快斗に教えなきゃいけないの?」
「全部報告しろなんていってないじゃん。
聞いたことくらいは教えてくれたっていいんじゃん。」
「でも、暁斗くんとの会話だから、暁斗くんの許可なく話すことはできない。」
「あ、そ。」
あーあ、不機嫌。完全に。
でも、暁斗くんの恋愛話を安易に口外するわけにはいかないから。