暴走族に恋をする。
「あ、あのさ…」
「ん?なに?」
「……練習させてくれない?」
「練習?なんの?」
「………告白の。」
…いや、それ絶対なんの意味もないやつだよ。
ただの時間稼ぎでしょ、絶対。
「……仕方ないなぁ…」
まぁそれで納得するならそれでいいよ。
その方が早く帰れる気がする。
……なんて、ひどいけどさ。
「じゃあここじゃ人目もあるし、あっちの空き教室にしよ。」
とにかく快斗の機嫌が悪くなる前に戻らないと。
「暁斗くんてさ、いつから好きなの?莉奈のこと。」
「んー、いつからだろなー。まぁあんだけ毎日一緒にいたらな。
見た目のわりに優しいし、真面目だし。
頭は悪いけど。」
「あー、それは思った。
私なんかに話しかける人とか全然いなかったけど、莉奈はそうじゃなかったし。
この格好で学校来るのも本当に嫌だったけど、莉奈は一緒に来てくれたしね。
きっと、もっと優しいところあるんだろうね。」
本当に、見た目じゃないよね。人って。
「桜子ちゃんってさ、なんで急にその格好で学校こようと思ったの?
あんなに地味だったのに。」
「あー、あの前の日に快斗に言われたんだよね。
俺は釣り合おうと努力してんのに、私は努力しないのかって。
好きって全然伝わってこねーんだけど、って。
だから私も快斗に釣り合おうと思って。」
「へー。
だけどなんであいつあんなキレてたわけ?」
「さぁ?それは聞いてないや。」
そういえばあの日、なんであんな怒ってたのかな。
結局この格好で学校来いとか言うし……どこに怒ってたんだろ。