暴走族に恋をする。



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「で、映画ってなに?何時からかわかる?」


「あそこのショッピングモールの映画館で14時20分からだったから、先ご飯にしてもいい?」


「もちろん!
ってか桜子ちゃんっていつもあそこで映画見てるの?」


「まさか。私はいつもあっちの人気ない映画館だよ。
でも家から遠いし、あっちの方が新しいから一回行ってみたかったの。
今日は快斗と一緒だから。」


地味で仕方ない私があそこに立ち入ることは、たったそれだけでも緊張したから。
場違い感が隠せなくて…でも、快斗がいればまだ大丈夫…な、気がする。

私があんなところにデートで行くなんて、正直烏滸がましいかもしれないけど。


「……はぁー…なんで桜子ちゃんってこんなに可愛いんだろ。」


「外でそういうこと言わないで。」


「可愛い桜子ちゃんが悪い。」


「…は?」


なにいってんの、この人。
前からおかしいとは思ってたけど、やっぱり少しおかしい。


「……ところでご飯はなにする?」


「桜子ちゃんはなにがいい?」


「なんでも。
それになにがあるのかさえ、わからない。」


新しくできたあのショッピングモールに入ったことすらないのに。


「こういう経験値は快斗の方が上なんだからお任せ。」


「でも俺、女の子とご飯なんて行ったことないし。」


「え、そうなの?」


「うん。
だからエッチして終わりだって。」


……この人は女をなんだと思ってるんだ…



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