暴走族に恋をする。


…それにしても、お父さんと二人きりなんて何年ぶりだろう。
お母さんがこの家にいない休日は、お兄ちゃんが亡くなってから初めてだよ。


「……あ、そっか。
だから朝からそんなに掃除に熱心で、いつもよりちょっとおしゃれをしてるのか。」


ソファに座って外を眺めて黄昏てたお父さんは、また急にこちらを見てそんなことをいった。


「べ、別にそういうつもりじゃ…
ただやっぱり誰か来るなら掃除はいつも以上になっちゃうもので…」


「はいはい、わかったよ。
でも、桜子は勉強ばかりしてたからたとえ彼氏でも、お父さんは嬉しいよ。
桜子が誰かをこの家に呼ぶのなんて、何年ぶりだろうな。」


お父さんは本当に優しい顔をしてそんなことを言うから、嬉しさと共に切なささえも込み上げてきた。

いつだって優しいお父さんを、いつも心配させてたのかな、って……


「…普段はなかなか難しいけど、また機会があったらいつでも連れておいで。」


「……うん、ありがと。」


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