暴走族に恋をする。


━━ピンポーン


「き、きた!?」


「なんでお父さんが緊張してるの。」


一通り家事を終えた10時過ぎ、うちのインターホンがなり、私はモニターを確認しにいった。


「はい。」


あ、やっぱり快斗だ。


「今開けるね。待ってて。」


モニターに写る快斗の顔も完全に緊張してたから、私はさっさと切って玄関へ向かうことにした。


「連れてくるから。
お父さんもシャキッとしてよね。」


……って、別にたたなくていいのに。
なにをそんな緊張してるの、本当に。


「いらっしゃい、快斗。」


「お、おう!おはよう!」


「もう"こんにちは"だよ。
上がりなよ。
それと、そんなに緊張しなくて良いよ。お父さんはすごく優しいから。」


「お、おう…」


……他にいうことはないの?


「お父さん来たよー。彼氏の快斗。」


そう言いながらリビングのドアを開けると、お父さんはまだソファの前に立っていた。


「は、初めまして!
秀名高校1年1組、大津快斗です!
さ、桜子さんとお付き合いさせていただいています…」


わーお、快斗もそういうこと言うんだね。
っていうか緊張しすぎじゃない?私が快斗んち行ったときはもう少し落ち着いてたけど。


「あ、桜子の父の雅明(まさあき)です。いらっしゃい。」


……うん、優しく笑ってるけど、お父さんも完全に緊張してるね。


「お邪魔します!
……あ、これ。母さんから…」


「あぁ、うん。ありがと。
お茶出すし座ってて。

お父さんもいつまで立ってるの?座りなよ。」


……ていうか、まだ付き合って数日の彼氏と自分の父親を二人にするって、普通しないことかな…?

結婚前とかならまだしも。まだ数日だし。


ま、いいや。



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