暴走族に恋をする。


「━━ここだよ。」


私たちはリビングを出て、玄関横にある和室へと移動し、お父さんはすぐにマッチを取り出した。


「…すごい、そっくりだね。」


「……中3の時のお兄ちゃんだよ、これ。
もう私はこの時のお兄ちゃんより大きくなったんだ。」


時間がたつのは本当に早いね。
……どうしてだろうね。

恋愛の寂しさや辛さは時間が解決してくれるのに…
命を失った悲しみは決して時間は解決してはくれない。


「どうぞ。」


「ありがとうございます。」


お父さんがろうそくに火をつけ、快斗はすぐに仏壇の前に座った。

仏壇に飾ってある小さな写真を見てから、線香を立て、手を合わせた。


それはそれは、真剣に。


「……ありがとうございました。」


30秒ほど手を合わせた快斗は、仏壇の前から退くとすぐにお父さんにお礼をいった。


「こちらこそ、ありがとう。
快斗くんのような人が桜子の彼氏で、秀一もきっと喜んでるよ。」


……お父さん…



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