暴走族に恋をする。
嬉しそうに、楽しそうに横を歩く快斗から前に視線を移すと、見覚えのある茶色い長い髪の毛が私の視界に入った。
「快斗、ちょっとごめん。」
だから快斗の手を離し、私は走ってそれを目指した。
「おはよ、莉奈。」
「あぁ、桜子か。おはよ。」
今日の莉奈も完璧なくらい、メイクも髪の毛も綺麗だった。
女子力の高さが本当にすごい。
「ね、暁斗くんに告白されたんでしょう?」
「はは、桜子直球過ぎ。」
「え、ごめん。ダメだった?」
「ううん、いいよ。
それは桜子のいいところだもんね。」
……コミュニケーション能力が低くて…どうやって切り出せばいいのかわからなくて…
「まー、されたけど断ったよ?」
「どうして?」
「だって、私は別に暁斗のこと好きでもなかったしさ。
誰でもいいわけじゃないから。」
「……そっか、それなら仕方ないか。」
「暁斗にはこれからも友達としてって言ったけど、話しかけてくれるかはわかんないけどね。」
「大丈夫だよ。だって暁斗くんだもん。」
「それもそうだね。
暁斗はバカだからいつまでも気にしてないか。」
「俺より頭悪いやつに言われたかねーわ!」
……え?
「…盗み聞き?趣味悪いね。」
「おはよう、暁斗くん。」
「はよ。
ってか聞こえただけだわ!」
そんなふうにヤイヤイ言い合う二人を見て、私まで笑ってしまった。
やっぱり…この二人は仲良くいてほしいから。
「置いてくなよー。」
「あ、快斗。ごめんね。
……でもこの二人、気まずくならなくてよかった。」
「だな。」
私たちは今日も仲良く、四人で登校です。