暴走族に恋をする。
それから私たちも学校を出て、すごく久しぶりに…本当に久しぶりに駅まで来た。
家から徒歩10分もかからないのに、お兄ちゃんが死んでからずっと遠ざけていたここに
私はまた、足を踏み入れた。
「なんで駅南はなんにもないのに駅北ばっかこんなに栄えてんのかね。」
「ほんとだね。」
まさに、お兄ちゃんが死んだ、あの場所。
私はもう来ることはないかと思っていたのに、3年たたずにまたここへと来てしまった。
……でも、怖くないのはやっぱり隣に快斗がいるからかな…
「ところでみんなどこでカーディガン買ってるの?」
「そりゃ人によるだろうけど、定番はやっぱあそこかな。」
「……あそこ?」
快斗は私の手を握り、私でも入ったことのある衣料品店。
世界にも店舗拡大しているこのブランドを知らない日本人は、恐らくいない。
「ま、安さ重視だけどね。」
子供の頃から、私もよくお世話になっている。
もちろんこの店舗は初めてくるけど…それでもデニムやアウター、下着、インナー、パジャマ、靴下は今でもここのを愛用している。
私も大好きで、とても信用してるブランドだから
「安くてもいいものだよね。」
ここなら私も抵抗なく入れるよ。
「ね!俺も買うからさ!
明日から一緒に着てこようよ!」
「えー」
「えぇ!イヤなの!?」
「……まぁいいけどね?」
彼女っぽくて。
そういう、いかにも青春みたいなこととは私は無縁だと思っていたから……
…きっと、快斗がいなきゃ経験することもできないよね。