暴走族に恋をする。


……かと思ったけど、さくらは私の足元へとすり寄ってきた。


「こら、さくら!
足は拭かなきゃだめだろ!」


「…ねこが自分で拭けるわけないでしょ。
ねぇ?さくら。」


庭を走ってきたさくらだから、きっと足は汚れている。
それでもお構いなしに私はさくらを抱き上げた。


「あ、そのまま待って!
さくら足拭くから!」


「ん、お願い。」


……でもさ、でもよ?
ねこってわりと足拭かないで家の中入ったりしない?
そんなことない?

ねこを飼ったことないからわかんないけど…


「よし、おっけ!
部屋行こ!」


「うん。」


まぁ、細かいことは気にしなくていっか。

……にしても、家の中でも手を繋いでくるって…それもどうなの?快斗さん…


「ん、どうぞ。」


「ありがとう。」


今日はいきなり、快斗の部屋。
離れのリビングでもなく、勉強部屋でもなく、快斗の部屋だった。


「…なんか、さくらのグッズが少しの間に増えてるね。」


「あー、それ?父さんが買ってきたんだよ。
あんなんなのに、さくらのこと溺愛してて。

でもさくらは俺がいるときはずっとここにいるから、まぁここにおいたって感じ。」


そう言いながら、今日買ったおもちゃを取り出してさくらと遊ぶ快斗も
なかなかの溺愛ぶりだと思うけどね。



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