暴走族に恋をする。



"逮捕された"

そのワードに、クラスは一瞬静まり返った。


「え、なに?どういうこと?」


そんな声が、クラスの中を飛び交う。
もちろん、暁斗くんからも。


「詳しくは今は言えない。ごめんね。」


私が暁斗くんにそういうと、今度は快斗が池田さんの前に立った。
椅子に座る池田さんを見下したように、笑顔のまま。


「たまたま俺ら、その現場にいたんだよね。
俺らは優しいから本当は半殺しで許してあげようかとも思ったんだけどね
桜子ちゃんは怖いからさ。」


「……別に怖くない。普通だよ。
ただ、罪を犯して人を傷つけた人が平凡に暮らしていくのがものすごく許せないだけ。」


どれだけ小さなことだったとしても
絶対に傷ついて、その傷と一生付き合わなければならない被害者がいる。
被害者家族がいる。

そんな被害者を出さないためにも、法律というものがあるんだ。


「何いってんの?あんたら。
ぜんっぜん話が読めないんだけど。」


池田さんがそういうと、快斗はスマホを取り出した。
そしてなぜか、池田さんに画面を向けた。


『……頼まれた?誰に。』


快斗の声?
…これ、昨日の…


『警察につきだされるのと、今から俺らに半殺しにされるのと、大人しく喋って解放されるの
どれがいいかって聞いてんだよ。』


『……池田、結希…』


そこまで流して、快斗はスマホを自分の顔の前へと向けた。


「どうする?この動画、警察に見せたけど。
まぁやり方はよくないって注意されちゃったけどー。」


「…それ、誰が撮ってたの?」


「ゆっきーだよ。
こういうのも証拠になるからね。」


へぇ…ちゃっかりしてるなぁ…



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