暴走族に恋をする。



「証拠?そんなのが?
笑わせないでよ。」


でも、池田さんはそんなことでは折れなかった。


「…池田さん、日本の警察をなめないで。
調べれば、絶対に確実な証拠が出る。
ただの高校生が思い付きで犯したような罪なんて、隙だらけなんだから。

……でもきっと、あなたは不起訴か書類送検で終わる。
その程度で片付けられてしまうのが、すごく悔しい。
被害者は心に傷を負うのに、あなたは罪意識すらない。」


「だから?」


「だから…私は絶対、あなたを許さない。」


私がそういうと、


『1年1組 池田結希さん
至急校長室まで来て下さい』


そう放送が流れた。


「ほら、呼んでる。立てよ。」


そういって快斗は池田さんを立たせたんだけど、急に動きを止めた。


「…そういや池田って暁斗に惚れてんでしょ?
おい、暁斗。お前が連れてってやれよ。」


「は?俺?」


……この人は…わざと無神経な発言して…


「どうすんの?暁斗付き合えばー?」


なんて楽しそうに言う始末。


「いやー、俺は無理だわー。
俺ケバいやつ無理だし。」


……暁斗くんまで、なんなのそれ…


「しかたねーなー。
じゃあ俺がつれてくか。

…ほら、歩けよ。校長先生がお呼びなんだから。
あ、桜子ちゃんも行こ!」


で、快斗は右手で池田さんの腕を強く掴み、左手で私の手を優しく握った。

……けど、どういう光景よ、これ…



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