暴走族に恋をする。



━━で、校長先生へつくとお巡りさんが二人、待ち構えていた。


「その子か。」


そういうのは、なぜかここにいる快斗のお父さんだった。


「名門校が聞いて呆れますね。
それ相応の対応、よろしくお願いします。
場合によっては支援金も打ちきり、快斗は転校させていただきます。
快斗は名堂学園でも入学できるほどの学力があるのですから。」


「はい、もちろんです。」


……なんだこれは。
すごく大人の世界じゃないか?

校長先生よ、快斗の親にかなり圧倒されてるじゃないか。


「桜子ちゃん、あとは任せて戻ろ。」


「あ、うん。
……失礼します。」


本当にただついてきただけだけど、一応先生や快斗のお父さん、お巡りさんに頭を下げてから、教室へ戻ることにした。


「あ、一時間目は自習って言っといて!」


「はいはーい。」


そんな担任の先生の言葉を背中で受け止めて。


「桜子ちゃんさ、さっき池田に書類送検か不起訴で終わる、って言ったじゃん?
でも実際はそんなことないんだよ。」


「え、そうなの?」


「うん。強姦って未遂だとしても罪が重いんだよ。
しかも早坂、膝と手に怪我してたじゃん?そうすると罪はもっと重くなる。
池田のところに警察が来たってことは、たぶん早坂が喋って、あの男たちも喋って、裏もとれたってとこ。
早坂が証言することが、強姦では一番の力になる。
被害者が加害者を許せないって気持ちが一番大切なんだよ。」


へぇ、そうなのか…


「だからたぶん、あいつらは実刑を受ける。」


「え、実刑?執行猶予じゃなくて?」


「それだけ罪が重いんだよ。
しかも少年法に、執行猶予なんてないし。」


「……そっか。」


そうだよね。だって、一人の女の子に深い傷を負わせたんだもん。
その恐怖心はきっと、これからもずっと莉奈を襲う。

それに比べたら…ね。


……それが、中村龍一も当てはまればよかったのにな…



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