暴走族に恋をする。



━━放課後


「じゃな!!」


快斗は元気よく暁斗くんに別れを告げ、私の手を握って教室を出た。


「なんの本を買いにいくの?」


「辞書。」


「え?辞書?快斗が?」


「そうだよ、俺が。そんな意外?」


なんて笑ってるけどさ。
普通に考えてみてよ。
あなた、不良だよ?


「…まぁいいけどさ。」


「ほら、英語一冊までなら辞書の持ち込みOKじゃん?
俺電子辞書しか持ってないしさー。
ま、今後受験とかでも持ち込みできたりもするし、買っといて損はないかなと。」


「…さすが首席だね。」


「はは、でしょ?」


見た目はあれだけど…
でもやっぱりさすが首席なんだね。

遊んでばかりじゃないんだなぁ…


「…って、私も電子辞書しかないんだった。」


「じゃあ一緒に買おうよ。」


「…そうだね。
快斗がどんなやつ選ぶのかちょっと興味あるし。」


首席がどんな辞書を選ぶのか、ね。


「辞書なんてなんでもいいじゃん。
結局はそれを使うやつ次第なんだからさ。」


なんて言っちゃうところまで、天才の頭脳だよ。



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