暴走族に恋をする。



━━辞書購入。適当に。


「さて、どこ行こっか。」


「あんまり時間ないし、ゆっくりいつものファミレスでいいんじゃない?
どうせ快斗送ってくんでしょ?」


「そうだね、それでいっか。
でも俺んち一回よっていい?荷物置きたいし。」


「うん、もちろん。」


あ、快斗んちは駅のすぐ近くなのか。
いいな、便利だな。

…でも、駅に行く途中にあんな豪邸があったなんて気づきもしなかったな、今まで…
あんまり周りを見てこなかったのかな。


「快斗の家はさ、駅に近いしすぐ近くに大きな交差点もあって、けっこう賑やかそうだけど
住んでたらあんまり気にならない?」


「んー、そりゃ族車が通ったらうるさいけど、それ以外はそうでもないかな。
俺も族車にしたら人のこと言えないしね。」


「ふーん、そっか。」


でも確かに快斗んちお邪魔して、周りがうるさいなんて感じないもんね。
防音対策しっかりしてるのかな。


「あ、さくらだ。」


交差点の自販機の横に、さくらが座っていた。
私と快斗を見て甘えた声まで出し始めたし。


「ほんとだ。」


やっぱりこの首輪は可愛い。ダントツで可愛い。
さくらに似合ってる。…親バカみたい。
親じゃないけど。


「あ、私さくらとここで待ってるから快斗置いてきなよ。」


「え?なんで?」


「さくらが見てる景色をみてみたいから。
すぐそこだからいいじゃん。ダメ?」


「んー…
じゃあダッシュで戻ってくるから!」


「うん、わかったよ。」


快斗はそういって、本当に走って家の門をくぐっていった。


いつもならすぐ私と快斗に駆け寄るさくらが、動くこともなく見つめる景色を

私も見てみたかった。


「なにを見てるのー?」



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