暴走族に恋をする。
快斗が手術室に入って二時間
「先生!」
医者が、手術室から出てきた。
「快斗は…」
「大丈夫ですよ。
幸い、救急車の到着が早かったので、出血は多かったですが、命に別状はありません。
意識も取り戻しました。
今はまだ麻酔と睡眠薬で寝てしまっていますが、2時間もすれば目を覚まします。」
「そう、ですか。
よかった…」
そういって安堵の息を漏らすおばさんの横で、私はまた崩れ落ちた。
"残念ですが、手遅れで……"
そう言われた過去が頭の中をぐるぐるしていたから。
快斗まで…って不安で、不安で……
「よかったな、桜子。」
「よかった…ほんとに…」
優しく優しく私の肩を抱き、立ち上がらせてくれた黒崎くんの優しさと
みんなの安堵の笑みに私はまた、涙が流れてくる。
本当に助かったんだ、と
再確認させてくれた。
「お母さん、ちょっとよろしいですか?
詳しい説明がありますので。」
「はい。
じゃあみんなは快斗と病室に先に行っててね。」
おばさんはそういって医師と消え、そのあとすぐに快斗が手術室から出てきた。
「快斗!」
「快斗!」
とっさに駆け寄るけど、快斗はやっぱり寝たまま。
「…寝てる、だけなんですよね?」
不安で、看護師さんに聞いてしまったけど
「寝てるだけ。大丈夫よ。」
看護師さんが笑顔で答えてくれたから、私はまた安堵の息を漏らした。