暴走族に恋をする。



どうして……なんでここが…


「……どういうこと?」


「え…っと…」


どういうことって…なにが……


「…塾サボって、ここで何してるのか聞いてるの!」


突然のお母さんの大きな声に、思わず私の肩は跳ね上がった。
久しぶりに、こんな勢いで怒られたな…


「……すみません、うちの息子が事故に遭いまして」


私が黙っていると、おばさんがそう話し始めた。


「あぁ、あなたの息子さんですか。
最近、うちの桜子と交際してるとか噂の黒崎蓮とかいう子は。」


……え?


「名前と、桜子とお付き合いしているという噂は聞いたことありましたけど
まさかそんなレベルの低い人だったとは」


「や…それは「黒崎蓮は俺だけど。」


違う人、と否定しようとしたら、私の後ろから黒崎くんの声が聞こえた。


「俺に、なんか文句あんの?」


黒崎くんはお母さんを挑発するようにそんなことを言うけど…
お母さんはというと、黙ったまま黒崎くんを見つめている。


その理由は私でもわかる。
こんなに不良オーラがまとわりつく黒崎くんが、名堂の制服を着ているから。


「……ま、実際桜子と付き合ってんのはそこで寝てる快斗だけど。」


「あなたたちが…
……桜子を、変なことに巻き込まないで。
桜子は、塾を無断で欠席するような子じゃないの。
悪い影響を与えないで!」


こんなにも、ヤバそうなオーラがまとわりつく黒崎くんに向かって、お母さんはそう怒鳴った。

でも、黒崎くんはそれにピクリとも動かない。


「……ちょっと、落ち着きませんか?」


そう、快斗のお母さんが私の一歩前へと出た。



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