暴走族に恋をする。
「わがまま言わないの!」
「どうしていけないの!?
快斗は…!……快斗は、私を庇って事故に遭ったんだよ。
私の命の恩人なんだよ!
……勉強がそんなに大事?
私を助けた人が目を覚ますのを待ちたいと願うのはそんなにいけないこと?
快斗のおかげで、中村龍一も逮捕されたんだよ…!」
どうして、わかってくれないの…?
どうしてそんなに勉強ばかりにこだわるの…?
「……あなた、またあの男に跳ねられそうになったの?
またあなたの身代わりに跳ねられた人がいるの?」
「そう、だよ。私のせいだよ。」
「……だから、言ったじゃない。」
………え?
「だからやっぱりあなたは家にいるべきなのよ!
そうやって遊び回ったるからそんな目に遭うのよ!
おとなしく家に帰ったきて勉強してたらそんなことにはならなかったでしょ!?
何度同じことを繰り返したら気が済むの!!」
そのお母さんからの痛烈な叫びが、私の心をえぐった。
同じことを繰り返したら…か。
「秀一の死を無駄にする生き方をしないで。」
とどめをさすように、冷たい目をしたお母さんの視線と言葉が私を射止めた。
「あなたが遊びに出るとろくなことが起きないわ。
あなたは私の言われた通り、塾に通って勉強だけしてればいいの!
さぁ、行くわよ!」
そういってまた私の腕を掴むお母さんの手を振りほどく力は、私にはもう残ってはいなかった。
もう、従うしかなかったんだ。
お母さんの言うことに、なにも反論ができなかったから。
……でも…
「そうやって…自分の意見…ばっかり、押し付けんなよ…」
その声に、私の足が動きを止めた。